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12月14日

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クリスティアン・ツィメルマンのコンサートに行ってきました。

いつもながらベートーヴェンのラストピアノソナタが

プログラムだったからです。

ツィメルマンの32番は4年前にも聴きました

4年前は、プログラム中のシマノフスキなどは素晴らしかった

ですが、32番はあまり記憶に残っていません。

その後、私なりにこの曲を聴きこんだつもりで、ツィメルマンの

後期ベートーヴェンがどのように聴こえるか楽しみでした。

前半の30番と31番は素晴らしかったです。

非常に優美で格調高いベートヴェンでした。音の輪郭の

柔らかさ⇔シャープさのコントロールは特筆ものです。

水彩画のように音の海に溶け込ませることも、シャープに

エッジを効かせることも自在で、またテンポも自在。

決して急がず、必要に応じて速弾きも交え、つなぎ目では

スローダウンと変則自在。印象をより強くさせていました。

それらの高い技術を裏打ちされた、美しく格調高い音楽を

創り出していました。

31番のフーガでは、途中、教会の鐘が鳴っているような風景が

浮かんだり、ピアノの特性の残響の生かし方と

sketch894

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タッチの多彩さから、繊細で優美な印象を生み出していました。

(31番の1楽章では2分くらい演奏した後、冒頭から引き直していたりもしたようでしたが・・・?@横浜)

 

さて、休憩をはさんだ後半の32番、前半の演奏でツィメルマンの魅力を堪能し、少し期待を高め過ぎたかもしれません。

もちろん前半同様に素晴らしい演奏でしたが、30番・31番の演奏には感じられた、楽曲からツィメルマンならではの魅力を引き出したようには

感じられませんでした。

私はアリエッタには、前半に変奏曲の繰り返しが単調にならない工夫と、後半にトリルからシンプルな旋律が浮かび上がってくるのを

期待してしまうのですが、ツィメルマンのアリエッタは、(前半の30番31番に比べてしまうと)少し表情の豊かさが足りなく思え、残念でした。

 

ツィメルマンの録音嫌いは承知しているのですが、年齢的にも今の充実した時期にベートーヴェンの後期3曲の録音を残してほしいと願ってやみません

 

※今回は追っかけの如く、ツィメルマンの同プログラムのコンサートにあと2回行く予定ですので、その後感想を追記する予定です。(14年1月)